第4回目の料理実習は、「地中海とシーフード料理1」です。
メニュー:
- ポレンタのクロスティーニ ホタテとブロッコリー添え(アンティパスト)
- ズッキーニ、ムール貝、花ズッキーニのバベッテ(プリモ)
- カレイと車エビの黒キャベツソース(セコンド)
- ポテトとリコッタのスフォルマート(コントルノ)
- パンとチョコレートのラム酒ソース添え(ドルチェ)
レッスンではそれぞれの生徒に、担当メニューが割り当てられます。実際のレストランではアンティパスト係、プリモ係と役割が決まっていて、どの担当になっても対応できるよう、レッスン段階から慣れておくことが大切です。
まずは食材の準備から始めます。大勢でキッチンを共有するためには、誰が何を使っていて、何がどこにあるかということをお互いに把握する必要があります。レストランでは手際が命なので、シェフ同士がうまくコミュニケーションをとれていないと、もたついてしまいます。例えば、卵黄と卵白を別々のチームが使いたい時に、相手が使う卵の数や、どのタイミングで扱うのかが分かっていれば、必要な時に手元にないという事態も避けられますね。
準備が終わったら、先生によるセコンドのカレイのさばき方のデモンストレーションです。さばく時の包丁の扱い方はもちろんのこと、背と腹の身の違い、皮付きと皮なしでの違いや残った骨の使い方まで教えてくれます。さらに今回はオーブンでの調理ですが、グリルやフライにする方法、塩釜にする方法、それぞれに合う調味料、さらにはお客様の前で切り分ける給仕係のテクニックについてまで、豊富な知識でさまざまな角度から説明してくれます。さばいた後は、ターバン状に巻き、クルマエビも乗せられて、出来上がりの見た目が非常に美しいです。ソースも飾り付け用に、今回は3種類作っていました。
次はパンとチョコレートのドルチェです。これは戦後食材が乏しかったイタリアで、今のようにケーキなども作れず、残り物のパンにアメリカ兵が渡していったチョコレートを合わせるという、昔の一般家庭で作られたドルチェでした。それをベースとして現代では生クリームやフルーツを混ぜ込んだり、いろいろとアレンジされてレストランでも出されています。このように、授業ではイタリアの食文化の歴史を知ることも大切な項目の一つです。
アンティパンストのポレンタは、トウモロコシ粉で作る、イタリア北部の家庭で日常的に食べられる食材です。パンの代わりとしておかゆ状にして食べたり、冷えて硬くなった残りを翌日切り分け、焼いたり揚げたりして食べます。今回は始めから切り分けて揚げ焼きにするので、レシピよりも水の量を少なめにして、硬く作ります。こういった、その時その時の状況によって臨機応変に対応するというのが、重要だけれど難しいポイントです。仕上げにパン粉をまぶしたホタテをポレンタに乗せ、オーブンで焼きます。お皿に盛る時に動いてしまわないよう、鮮やかな黄緑のズッキーニソースにポレンタを乗せます。ソースの盛り付け案も生徒のみなさんで出し合って、バリエーションが可愛らしいですね。
そしてパスタに取り掛かる時は、正確な時間配分が必要になるので、材料を全て手の届く場所においておきます。そしてお皿に盛る前に、必ず味見をして、お客様に出してよいものかどうか確認をします。例えば貝類にどれくらい塩味が残っているか確認して、塩辛ければバターを多めに入れるという調整をしていきます。
完成したら席へ移動して実食しますが、温かいうちに味を確かめるために、時には出来立てを厨房で食べることもあります。魚料理はフィレンツェのような内陸部ではなかなか手軽に食べられないものなので、やはりレストランで食べるとお値段も高めになるだろうという理由から、今回は味も見た目も高級感溢れるエレガントな料理レッスンの日となりました。
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