第5回目の料理実習は、「北イタリア料理1」です。
メニュー:
- イカスミのリゾット
- ピエモンテ風じゃがいものニョッキ ポロネギ、トマト、パルメザンチーズ入り
- ミラノ風オッソブーコ
- トレヴィーゾ風チコリの蒸し煮
最初に時間のかかる「イカスミのリゾット」用のブロードを煮込み始めます。魚介系のリゾットという事でブロードにも魚を入れますが、今回は仕込み用にはもったいないホウボウを使いました。
イカスミのリゾットは滅多にトスカーナのレストランでは食べる事の出来ないベネツィアの代表的な一品です。元々お米はイタリアでも北の地方でのみ食べられていました。米をイタリアに普及させるきっかけになったのはマルコ•ポーロが中国からイタリアに戻ってきてからです。今の一品料理というよりは主食の付け合わせのような食べ方で食べられていました。そして今のリゾットの形になったのは300~400年前だそうです。イタリアのリゾットは日本で食べるリゾットと違い、多少芯が残っている事がおいしいリゾットの条件です。そのため時間を掛けすぎてもだめですし、短すぎてもだめで、前回のパスタの茹で時間同様とても難しい行程です。
そして、同じように時間のかかる「ミラノ風オッソブーコ」も早めに取り掛かります。オッソブーコとは、骨ごと輪切りにした子牛のすね肉に小麦粉をまぶし、さまざまな野菜と白ワインで煮込んだものです。この料理は今回のミラノ風とトスカーナ風があり、ミラノ風はレモンの皮やポルチーニを入れ、だいたいはサフランで味付けしたリゾットと一緒に食べます。トスカーナ風はレモンの皮•ポルチーニは入らずトマトソースで煮込みます。今回は「トレヴィーゾ風チコリの蒸し煮」を付け合わせにします。チコリは以前レポートでご案内しましたアーティチョーク同様日本ではあまり知られていない、しかしイタリアではとても一般的に食べられる野菜の一つです。そして旬も冬の今の時期になります。リーブと一緒に細かく切り塩コショウ、レモン汁と和えるだけ生でサラダとして食べる事が出来ます。味は少し苦味があるのが特徴です。そのためチーズと一緒に食べて苦味を抑えたりもします。このように生でも食べれますし、煮ても焼いても食感と味わいが楽しめる万能な野菜です。
「ピエモンテ風じゃがいものニョッキ ポロネギ、トマト、パルメザンチーズ入り」ですが、じゃがいもを茹でるところから始めます。そして裏ごしして口当たりを良くします。小麦粉や卵黄、塩を加えたら形作りに取り掛かります。ニョッキはニョッキ専用木版を使いますが、これは写真の通り、生徒さんが持っている木の板に縦方向に細かな溝が入っています。ここに先ほど捏ねたジャガイモを棒状に伸ばし小さく切ったものを親指で押し付けながら、線を付けながら丸みを帯びた独特な形にしていきます。形を作る事も難しいのですが、その日の湿度や気温によってじゃがいもが手にくっついたり、せっかく作ったものが作業台にもくっつきやり直さねばならなくなってしまいます。そのため小麦粉をじゃがいもや作業台にまきながら作業をしていくのですが、この小麦粉は最初にグラムを細かく量り、じゃがいもに混ぜる時に少し残しておいたものです。そのためこの作業台にまいた小麦粉も分量の一部として最後まで計算しながら使わなければなりません。生徒さん達はお互いの作業状況を見ながら作業していきます。ただ作る事が料理ではありません。
実習の授業では時々間違えや失敗もあります。しかしその都度フランチェスコ先生が問題を追及し、打開策を出してくれます。そして試食の時に正直な味の評価をしてくれるので、生徒さん達は自分達が作った料理を基準として、これはうまく作れた、調味料が足りない、野菜を炒め過ぎた、など自分の舌で記憶する事が出来ます。そしてインターン先でも、日本に帰ってレストランに勤めても、本物の味を勉強した事が自信になります。
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